オタクの戯言

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君の膵臓をたべたいは読んではいけない本だった(感想・ネタバレあり)

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はじめに

当ブログにお越し頂き恐悦至極に存じます。あにおです。

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出典:住野よる『君の膵臓をたべたい』(2015、双葉社)

だいぶ前の話になりますが、お願い!ランキングでカズ・レーザーさんが話題の本を面白い順にランク付けする、という事をやっていました。

その時この本が確か2位だったかにランク付けされていて、そのタイトルのインパクトもあり印象深く、ずっと読みたいと思っていたのです。

が、中々手に取るきっかけがなくそのまま月日が流れ、その存在を忘れた頃に映画を観に行き、CMでこの作品が実写映画化されたことを知りました。

それでまた思い出し、なんとなく良いタイミングに思えて購入。先日一気に読んだのでその熱が冷めないうちに感想を書いてしまおうと思います。


それでは、最後までお付き合いいただければ幸いです。

なぜ読んではいけなかったのか

答えは単純で、予想通り号泣してしまったからです。



導入で桜良が膵臓の病気で長くない事が示されていたため、彼女の“死”関係で泣かされるような表現があることはわかっていました。

結末は明確に予想できなくても、方向性は予想できていたわけです。

それでもなお、号泣しましたし心を動かされました。

読んではいけなかった。これは決して額面通りの意味ではなく、まんまと泣かされてしまった悔しさから出た言葉みたいなもんです。

ああ、でも外では本当に読んではいけないですね。こいつどうした?!って思われちゃいますから。



まんまと泣かされたのもそうですが、実はこの他にも「やられた!」と思う描写がこの作品には結構ありました。以下で語ります。

二回読みたくなるような構成の作品だった

読み終わった今だからわかるのですが、この作品は色々な仕掛けというか細かい表現がなされていると思います。

例えば、作中のほとんどというか、最後のほうまで主人公の名前についての描写がありません。

誰か(主に桜良)が彼を呼ぶとき、【仲良し】くんとか、【ひどいクラスメイト】くんといった表記がなされているのですが、この表現について色々な受け取り方ができるのです。

本当に周りがそう呼んでいたのか、それとも周りとちゃんと向き合っていない主人公を表す比喩表現なのか、色々考えましたがどちらも違うと思っています。

主人公は作中で「名前を呼ばれた時に、その人が“僕”をどう思っているか想像するのが趣味だ」と桜良に言います。

そういった主人公の主観をああいった形で描写していたのではないでしょうか。

だから、桜良が病室で“僕”を呼ぶ時に【?????】となっていたのでしょう。その時の主人公は彼女の心情が測れなかったから。



他にはやはりタイトルの「君の膵臓をたべたい」ですかね。

最初タイトルを読んだ時は、君=桜良の事だと思いましたし、冒頭で桜良が「昔の人間は自分の病気に対応した部位を食べてた」という話をしているのを読んで、やっぱりそうなんだという感想を抱きました。

しかし、最後まで読んでみるとこのタイトルはそう単純な意味ではないことが分かります。

私個人としては、君=桜良であり、春樹でもある。

そして「君の膵臓をたべたい」の膵臓は比喩であり、桜良、春樹がお互いに欠けているものを、相手の“膵臓”を食べることで治したいという事だったんだろうと思っています。

購入した本の帯に、「読後、きっとこのタイトルに涙する」と書いてあるのを見て「またまた~」と思っていましたが、確かに読み終わった今このタイトルを読むと、グッとくるものがありますね。

これはラブストーリーというジャンルではなかった

ようやく内容の感想に入ります。

本の表紙や映画のCMを観た限りでは、ラブストーリーなのかなと思っていたのですが、決してそうではありませんでした。


クラスで冴えない主人公が、ひょんなことからクラスで人気者の女の子の秘密を知り、どんどん仲良くなっていく。


大枠でいえばそういう内容で、これは小説というよりはラノベに良くある導入といえます。

確かに、要所要所で恋愛的な描写ととれるものもありましたが、桜良が言っていたように二人の関係はそういう言葉でくくれるものではないでしょう。

たった4カ月ほど。

二人が言葉を交わし、色々なところに出かけ、共有するようになって4カ月ほどしか経過していませんが、二人の間には他の人にはない何か特別なものが存在していたと思います。

友情でも愛情でも家族愛でもない、それ以上の何かがあったんだろうなと、そう思わせてくれるような構成でした。

出会いから仲を深めていく描写をしっかりと書いてくれていたからこそ、そう思えたのですがその書き方がとても上手い。

基本的に二人の会話のテンポが良いのと、余計なエピソードが挟まれていないことで、サクサク読めるのに説得力がありました。



あとは、主人公が桜良との交流を深めていくことで、徐々に変わっていく様子が絶妙だったと思います。

私もそこまで人付き合いが得意ではなく、どちらかというと自己完結してしまうタイプだったので、主人公と同様に桜良の考えにハッとさせられることが結構ありました。

流されてるんじゃなくて、選んでいるという考えが個人的には印象深いですかね。



他にも、冒頭で桜良が余命僅かだという事をネタバレした結果、どうそれを裏切るのだろうと思って読んでいたのですが、これまたやられましたね。

というか、基本的に作者の住野よるさんは会話や描写に意味を持たせていることが多くて、それがあとになって繋がって「おおっ!」となることが結構ありました。

桜良の名前についての話とかもそうです。

名前の通り、桜が春を待つように、桜良は春樹を待っていたってめっちゃよくないですか?!ねえ、めっちゃよくないですか?!!

こういう読んでて「あー!!」ってなるのは好きなので、そういう点でも楽しく読めましたね。

おわりに

つい最近読み終わって、テンションがぐちゃぐちゃになっている状態で書いているのでかなりまとまりがない感想になっていると思います。

実をいうと、私はメインキャラクターの死を描いて感動させる系の話があまり好きではありません。

死を描くことで感動を簡単に作り出せてしまうからです。

もっとも、この作品がそうではないとまでは言い切れませんが、私は読んでいてそういった嫌らしさのようなものは感じませんでした。

あなたが同じ理由で敬遠しているのだとしたら、とりあえず一度読んでみて欲しいです。

そして、それだけではない何かを感じていただけたら幸いです。



長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、またのお越しをお待ちしております。